本書が取材している世の中のモメごと、たとえば沖縄の基地問題、エコや公害や障害者、原発に新興宗教といったモメごとは、一般の報道で知るよりもずっと複雑なようだ。
賛否中道それぞれの立場でそれぞれの立ち位置があり、それぞれの主張があったりなかったり。直接的な金銭利害だって発生するし、モメることそのものが立ち位置になっちゃったりもするしで、結局のところわかりやすい対立なんて全然ないんだな、ということが伺える。
ユーモアある第三者の視点による丁寧な取材で、まあそりゃモメるよなー、モメ続けるよなーと思わざるをえない場面多数。
不景気にしろ地震にしろ原発にしろTPPにしろ、とかく「是か非か」、「賛成か反対か」、「参加か不参加か」の二項対立になりがちだった脳みそが「だからつまり世の中はフクザツなのだ」という現実を再確認するのに最良の一冊だった。