過日、東京と横浜の一番海っぱたをつないでいる国道15号を走行しておりましたところ、赤信号で停車した脇で、非常に昔ながらのたたずまいな銭湯が視界に入ってきました。BGMに流れるビージーズの『マサチューセッツ』にご陽気な気分になりつつ、ネオン管でできている(が、一部は点灯していない)看板に「ほほう、ラジウム」などと言いつつも「じゃあラジウムってなんだ」と問われると一切説明できないのですが、まあとりあえず、ラジウム。温泉。いや銭湯。
屋根には若かりし堺正章でもいそうな雰囲気のこの銭湯と、隣接するコインランドリーとを隔てる小道は、人がすれ違うには遠慮が必要なくらいの道幅です。いかにもアパート多そうな。そういう雰囲気。
で。
この薄暗い小道に、妙に密着した感じの男女がいるんです。えーとつまりなんていうか、路地で銭湯でコインランドリーで密着する男女?これなんてフォーク世代?という感じであります。半ズボンでサンダル履きの私が言うのもなんですが、貧乏くさいのであります。あまりの光景に目をそらしたくなりつつますます凝視してみると、どうも小刻みに揺れています。なんかリズム刻んでるっぽい?と足元に目を移すと、おやまあ、いわゆる社交ダンスのステップなのでした。
黒いワンピースの女性が、蚊を撃退するためにピシャリと自分の足をひっぱたいたところでダンスは終了となりましたが、それにしてもなんというか、日本もなかなかにラテンなのですね。軒先で将棋を指すようにタンゴを踊れるなんて!