ゴールキーパー時代に、カミュは多くを学んだ。
「ボールはこちらが来てほしいと思っている方向へはけっして来てくれないということを私は学んだ。このことは私の人生において大きな教訓になった。とりわけ大都会の、ふつう人が道理といわれる側に身を置かないところでは」。なかなかそこまで悟りきれないものだが、彼はまた勝っても自分を神だと思い込まず、負けても自分を屑だと思わない知恵を身につけた。人間の精神というものの謎についていくばくかを知り、やがて彼は自らの著作を通じ、その迷宮に、危険な旅に、深入りしてゆくのである。
スタジアムの神と悪魔―サッカー外伝
エドゥアルド ガレアーノ Eduardo Galeano 飯島 みどりみすず書房 1998-04
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