救急に関する消防署の出動記録を調べてもらうために赴くも、「台帳にないっぽくてパソコンで検索してみるからちょっと待って」と言われ、お忙しいところすみません、と言いつつもこちらも調査すべきネタの足がかりを得なければならないので知りたいところは知りたいのだ、と言うことを言外ににじませつつ笑顔でコミュニケートする。途中 PC に格納されているという記録の検索方法について議論が勃発してしまい、なんていうかいろんな人が入れ替わり立ち代り手をかけてくれる。え、あーパスワードとかがアレで?ははあなるほど。まあパソコンなんてそんなもんなんじゃないですかねえぇえぇ、あんまり頼ったところでねえ、しくみに合わせろっていうのも妙な話ですよね、などと自らの視座を確認しながら。なんか周囲をチラチラ拝見するとクラサバっぽいアプリが動いている気配なのですが、ははあ、納入はあの会社ですか。危急性の高い要件が発生しうる現場でもそうなのか。
どうも PC (つうか Windows とバックエンドのサーバー類) を中心とする現在の業務アプリケーションの趨勢は、大きなスパンでみると「テクノロジの効力の低かった時期」として総括されるんじゃないか、という気がしてならない。いや、汎用機ならいい、というのでもないけれども、多機能(で不安定で安い)なのか省機能(で超安定で高い)なのか、という二律背反の繰り返しな過渡期をいつになったら超えるんだろう。どうしたって私たちが人間である以上の制限は未来永劫なのだから、携帯だ PC だ IT だ、というところで金の動かし方について必死になったところで、それが本質になりえることはまるでないと思うんだけどな。だいたい、救急の現場にパスワードがどうしたとかっていう話はどこまで意味のある話か。とはいってもバイオメトリクスな認証なんてどんだけ金かかるか、いやいやそうは言っても金の使い方の前提となる社会の共通認識が……。
……などという、いつもの私の言い回しを一通り頭の中で反芻(むろん曇りない笑顔で)したところでようやく求めていたネタにたどりついて、一通りの説明を受ける。うーむなるほどなあ。傍証ばかり揃えてもしょうがないが、まあいろいろ確証にかわったので成果はあった。